日本臨床外科学会雑誌
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症例
十二指腸分類不能紡錘腫瘍の1例
山中 雅也猪川 祥邦田中 伸孟高見 秀樹林 真路露木 悠太小寺 泰弘
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2022 年 83 巻 6 号 p. 1052-1057

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抄録

症例は45歳,男性.黒色便で近医を受診し,上部消化管内視鏡検査で十二指腸腫瘍を認めた.生検結果からは,SYT遺伝子の転座は認めないが,免疫染色や組織像から十二指腸滑膜肉腫と診断され,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.しかし,術後の切除検体からもSYT遺伝子転座は認めず,滑膜肉腫は否定された.EWSR1の転座は認めたが,融合遺伝子までは確定できなかった.組織像からは,round cell sarcoma with EWSR1-non-ETS fusionsという疾患概念に当てはまる可能性を指摘されたが,最終的には分類不能の紡錘細胞腫瘍との診断に至った.Round cell sarcoma with EWSR1-non-ETS fusionsという疾患概念は2020年に新たにできた分類であり,本邦ではこの分類にかかわる報告はない.貴重な病理結果である十二指腸紡錘細胞腫瘍を経験したので報告する.

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© 2022 日本臨床外科学会
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