2020 年 81 巻 3 号 p. 542-547
患者は56歳,女性.健康診断を契機に最大径10cmの肝血管腫と診断された.心窩部不快感と食欲不振が出現したため,前医にて肝動脈塞栓療法を施行されたが,腫瘍は縮小しなかった.徐々に体重減少も出現したため,手術適応と判断され,当科紹介となった.尾状葉から肝外に突出する巨大腫瘍を認め,胃を左側下方に圧排していた.完全腹腔鏡下肝尾状葉切除術を施行し,術後合併症はなく,術後第7病日に退院した.再発なく社会復帰している.難度の高い肝切除に対しても腹腔鏡手術の可能性を否定せず,丁寧な剥離操作とPringle法などの基本操作を応用することが重要と考えられた.