日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下に切除した腹腔動脈幹欠損を伴う後腹膜傍神経節腫の1例
武田 圭佐川村 秀樹今 裕史小池 雅彦
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2017 年 78 巻 11 号 p. 2540-2545

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抄録

患者は48歳,男性.健診の腹部超音波検査で異常を指摘され,当院を受診した.腹部CTでは膵体部・総肝動脈背側に,径3cm大で内部不均一に造影され,辺縁整,境界明瞭な腫瘍を認めた.腹腔動脈幹は欠損し,脾動脈・肝動脈・左胃動脈は上腸間膜動脈経由で造影された.MRIではT1WIで低信号,T2WIで高信号であり,遷延性に造影された.カテコラミン3分画は正常範囲で,非機能性の傍神経節腫paragangliomaを疑い,腹腔鏡下腫瘍切除術を行った.胃をPenroseドレーンで吊り上げて良視野を確保し,後腹膜から腫瘍を剥離した.腫瘍は境界明瞭であったが血流豊富で可動性に乏しく,脾動脈を切離することで完全鏡視下に切除しえた.病理学的には,synaptophysin陽性, S-100陽性であり,傍神経節腫と診断された.症例により後腹膜腫瘍に対しても腹腔鏡手術は安全・有用であると考えられ報告した.

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© 2017 日本臨床外科学会
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