日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
Ball valve syndromeに対する手術待機中に胆嚢穿孔をきたした1例
鍋谷 雅史
著者情報
ジャーナル フリー

2014 年 75 巻 5 号 p. 1376-1380

詳細
抄録

症例は86歳,女性.以前より有茎性胃腫瘍を指摘されていた.腹痛・嘔吐にて近医を受診し,上部消化管内視鏡検査にてball valve syndrome(以下BVS)を認め,内視鏡的に整復された.しかし,再度同じ状態となり内視鏡的整復が困難であったため,手術目的で当院に紹介となり入院.入院4日目に突然の腹痛が出現し,ショック状態となったため緊急開腹手術を行った.腹腔内は胆汁で黄染しており,胆嚢底部に径7mmほどの穿孔を認めたが胆石は認めなかった.また,十二指腸に脱出した胃腫瘍は用手的に胃内に還納した後,胃を切開し,腫瘍切除術を行った.術後,徐々に腎機能障害が進行したため血液透析目的で転院し,転院先にて術後58日目に永眠された.BVSに対する手術待機中に胆嚢穿孔をきたした稀な症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.

著者関連情報
© 2014 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top