2008 年 69 巻 3 号 p. 671-675
副腎皮質癌の予後は悪く,進行および再発時の治療法としては確立されたものがないのが現状である.今回われわれは副腎皮質癌に対して化学療法を行い治療効果のみられた症例を経験したので報告する.
症例は29歳,女性.17歳時悪性リンパ腫にて化学療法施行し寛解.27歳時発熱が続き検査施行したところ,CTにて後腹膜腫瘍を認め当院紹介となった.術前には確定診断がつかず,開腹手術施行.手術時生検結果で未分化癌と診断され切除せず術後EP療法を行っていたが,化学療法中に副腎皮質癌の診断となったため3クール施行しその後副腎腫瘍摘出術施行.経過観察中の術後1年4カ月後のCTにて腹膜腫瘤を認め,副腎皮質癌の腹膜再発と診断し再度EP療法を施行.8クール終了時のCTでは腹膜の腫瘤は画像上縮小しており,化学療法の効果が認められた.