日本大腸肛門病学会雑誌
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臨床研究
大腸憩室疾患に伴う粘膜脱症候群様病変の2例
坂田 玄太郎野崎 良一實藤 隼人大湾 朝尚入江 朋子佐藤 太一深見 賢作山根 圭太郎中村 寧田中 正文高野 正太福永 光子佐伯 泰愼久野 三朗緒方 俊二山田 一隆高野 正博
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2012 年 65 巻 4 号 p. 209-213

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抄録

大腸憩室疾患に伴う稀な粘膜脱症候群様病変2症例を経験した.大腸憩室疾患で長期経過観察中に憩室多発部位にみられた病変である.内視鏡所見は,境界不明瞭な発赤調の多発した粘膜下腫瘍様形態であった.病理学的には粘膜筋板から粘膜固有層上方へ伸びる平滑筋線維の増生,いわゆる線維筋症を認め,直腸にみられる粘膜脱症候群に類似した所見であった.経過中,腺腫や早期癌の併存がみられ,内視鏡摘除を施行した.本病変の確定診断には生検による病理診断が有用であり,腫瘍性病変と鑑別が困難な場合は内視鏡摘除が必要である.わが国では大腸憩室疾患が増加傾向にあり,今後本病変に遭遇する機会が増加することが予想される.憩室多発例では本病変を念頭に入れ,内視鏡観察をすべきである.

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© 2012 日本大腸肛門病学会

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