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99mTc-HMDPおよび-MDPの骨への集積課程の臨床的研究
松本 隆裕三好 弘一佐藤 一雄岸 太郎吉野 富雄西谷 弘
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2000 年 49 巻 6 号 p. 292-297

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抄録

99mTc-HMDPおよび-MDPの骨への集積過程を9対象 (99mTc-HMDPに5, 99mTc-MDPに4) について調べた。血液中の99mTc化合物はラジオ薄相クロマトグラフィで分析し, 放射能はシンチレーション検出器で測定し, また, 両薬剤の骨への集積は骨シンチグラフィで調べた。投与後2時間で血液中から99mTc-HMDPおよび-MDP化合物の83, 87%がそれぞれ消失し, これらの割合は3時間後においてもほとんど変わらなかった。また, 両薬剤に含まれた99mTcO-4の大部分が血液中から消失する一方で, 血液中に少量の未知99mTc化合物が生成した。一方, 骨への99mTc-HMDPの集積については, 軟部組織に対する腰椎椎体の放射活性比が3時間後に1.5±0.5となって, 骨への集積過程で平衡状態が成立し, 全対象において良好なシンチグラムが得られた。
以上の結果は, 両薬剤の骨への集積がヒドロキシアパタイト表面への早い化学吸着と, 骨の細胞や有機質中を移動して取り込まれる遅い集積の二つの機構によることを示唆している。

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