食品衛生学雑誌
Online ISSN : 1882-1006
Print ISSN : 0015-6426
ISSN-L : 0015-6426
ノート
カビ毒汚染されたナツメグに対する Bright Greenish-Yellow Fluorescens(BGYF)選別の有効性
小林 直樹岡野 清志小西 良子
著者情報
ジャーナル 認証あり

2023 年 64 巻 5 号 p. 179-184

詳細
抄録

香辛料は,マイコトキシンの汚染が多いことが報告されている.Codex(2018)の報告によるとナツメグには特にアフラトキシン(AF)とオクラトキシンA(OTA)の汚染が多い.現在インドネシアでは,主として目視選別がおこなわれ,インドネシア規格によりABCD(whole 良品で虫食い,空洞率の低いもの),SS(しわが多いもの),BWP(割れ,虫食いが激しいもの)の3グレードに分類されており,日本に輸入されているグレードはABCD である.また,ABCD およびSS の劣化品とBWP を混合した製品としてCompany Brand がある.本研究では,穀物のAF 汚染選抜に利用されているBGYF 選別方法のマイコトキシン除去効果をナツメグで実証するため,4ロットのCompanyBrand をBGYF 選別により,陽性グループと陰性グループに分け,AF,OTA 濃度および真菌フローラを調べた.その結果,BGYF 陽性グループではいずれのマイコトキシンも濃度が高く,真菌フローラも陰性グループと違いがあった.本研究はBGYFによるナツメグのマイコトキシン汚染選別が,AFだけでなくOTAにも有効であることを実証したものである.

著者関連情報
© 2023 公益社団法人 日本食品衛生学会
前の記事 次の記事
feedback
Top