2023 年 64 巻 5 号 p. 179-184
香辛料は,マイコトキシンの汚染が多いことが報告されている.Codex(2018)の報告によるとナツメグには特にアフラトキシン(AF)とオクラトキシンA(OTA)の汚染が多い.現在インドネシアでは,主として目視選別がおこなわれ,インドネシア規格によりABCD(whole 良品で虫食い,空洞率の低いもの),SS(しわが多いもの),BWP(割れ,虫食いが激しいもの)の3グレードに分類されており,日本に輸入されているグレードはABCD である.また,ABCD およびSS の劣化品とBWP を混合した製品としてCompany Brand がある.本研究では,穀物のAF 汚染選抜に利用されているBGYF 選別方法のマイコトキシン除去効果をナツメグで実証するため,4ロットのCompanyBrand をBGYF 選別により,陽性グループと陰性グループに分け,AF,OTA 濃度および真菌フローラを調べた.その結果,BGYF 陽性グループではいずれのマイコトキシンも濃度が高く,真菌フローラも陰性グループと違いがあった.本研究はBGYFによるナツメグのマイコトキシン汚染選別が,AFだけでなくOTAにも有効であることを実証したものである.