2017 年 58 巻 3 号 p. 155-159
茶は,妨害成分であるカテキンやカフェインを多量に含むため,残留農薬分析における精製が困難である.著者らは,これらの妨害成分を除去する2種類の精製材料(S-NH2とS-Si)を開発し,茶中残留農薬分析ですでに用いられている4種類の精製材料(オクタデシルシリル化シリカゲル,グラファイトカーボン,アミノプロピルシリル化シリカゲルおよびシリカゲル)とカテキンおよびカフェインの除去効果を比較した.筆者らが開発した2種類の精製材料は,カテキンおよびカフェインの除去に優れており,特にカテキンの除去にはS-NH2が,カフェインの除去にはS-Siが効果的であった.S-NH2およびS-Siにおける農薬成分の添加回収試験では,80成分のうち約7割以上の農薬成分が70%以上の回収率を示した.以上より,これらの精製材料は,茶中残留農薬分析の精製剤として有用であると思われた.