食品衛生学雑誌
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定量NMRに基づく既存添加物中のクエルセチンおよびクエルセチン配糖体の絶対定量
多田 敦子高橋 加奈杉本 直樹末松 孝子有福 和紀齋藤 剛井原 俊英吉田 雄一石附 京子西村 哲治山崎 壮河村 葉子
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2010 年 51 巻 5 号 p. 205-212

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抄録

われわれは,国際単位系(SI)にトレーサブルな有機化合物の絶対定量法として,定量NMR (quantitative NMR: qNMR) の開発を行っている.本研究ではqNMRを応用し,既存添加物ルチン(抽出物),ルチン酵素分解物およびクエルセチンの各添加物製品中のルチン,イソクエルシトリンおよびクエルセチンや,これら化合物の市販試薬の絶対定量を行った.今回新たに,計量学的に正確に値付けされた 1,4-ビストリメチルシリルベンゼン-d4 (1,4-BTMSB-d4)をqNMR基準物質として用い,そのメチル基と測定化合物の各2' 位プロトンとのシグナル積分値比から含量を算出し,より簡便な1段階のqNMR測定を行った.その結果,qNMRを用いることにより,分離操作を行うことなく,かつ,測定対象化合物と同一の標準品を必要とせずに,ルチン,イソクエルシトリンおよびクエルセチンの定量が可能であることを見いだした.

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© 2010 公益社団法人 日本食品衛生学会
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