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論文
鉄さびの吸湿・放湿試験装置の開発
春名 匠庄司 裕樹鹿島 和幸上村 隆之幸 英昭
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2012 年 61 巻 3 号 p. 113-119

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抄録

湿潤・乾燥環境中におけるさび付き炭素鋼の吸湿・放湿挙動を定量的に測定することができる装置を開発した.さび付き炭素鋼を試料にして湿度を制御した空気を導入した容器内に設置し,吸湿・放湿に伴う試料の質量変化を精密電子天秤で連続的に測定した.それと同時に容器内の湿度をデジタル湿度計で測定した.湿度が90%以上の空気中では,試料の質量はさびの吸湿によって急激に放物線的に増加し,やがて試料表面への水分の付着によって徐々に直線的に増加した.試験を続けると質量の振動が認められた.突然の質量減少は一部のさび片を含んだ水滴の落下に対応し,その後の直線的な質量の増加は水分の再付着に対応した.90%以下の湿度における質量変化は90%以上の湿度のときと同様であったが,試料からの水滴の落下は認められなかった.湿度88%の空気中で長時間試験を行うと,試料に吸収・付着した水分の質量は試験時間に依存せず,新しく生成したさびの質量は時間の経過とともに直線的に増加することがわかった.また,さびの質量増加速度すなわち腐食速度は厚い水膜中に存在する溶存酸素の拡散が律速したカソード反応速度に対応することが示唆された.

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© 2012 公益社団法人 腐食防食学会
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