2016 年 28 巻 5 号 p. 855-874
スマートフォンを利用すると容易に歩行者トリップデータを取得できるため,災害対応や交通などの分野での利活用が期待されている.災害時などの用途によっては,正確なリアルタイムの歩行者トリップデータを必要とする.しかし,個々のスマートフォンのGPSセンサから取得される位置情報は,周囲の環境や機種で異なるため精度にばらつきが生じて多くのノイズが含まれている.この課題には,日々蓄積した膨大な量の歩行者トリップデータの解析により対処できるが,これはリアルタイム性に欠けるため,緊急対応を要する用途では満足できない.本研究では,スマートフォンで取得した歩行者トリップデータからリアルタイムに確実性の高い3次元の位置情報を取得するために,PDOP,平均誤差半径および歩行者トリップデータからノイズを除去する手法を考案した.そして,プローブパーソン調査で取得した歩行者トリップデータに同手法を適用し,有用性を検証した.