2012 年 24 巻 6 号 p. 1137-1153
本研究では,脳波を用いて爽快系シャンプーの洗髪後感覚に対する客観的評価が可能か検討を行った.具体的には,シャンプーの主な構成成分が同一で,清涼剤(l-menthol)の配合量のみが異なるシャンプーを評価対象とし,洗髪後の皮膚感覚を再現した手法を適用した際の脳波に対し,感性フラクタル次元解析手法(EFAM)を適用することで,被験者が感じる爽快感,清涼感,快適感,リラックスの4種類の感性計測を行った.その結果,爽快感において,EFAM による感性出力値と主観評価値との間で高い相関が得られ,爽快系シャンプーの洗髪後感覚に対する客観的評価の妥当性,ならびに有用性が示唆された.このことから,本提案手法は,特定の感性に対して客観的な尺度として定量化される「感性」を指標とした新規感性評価手法として期待される.