1991 年 3 巻 4 号 p. 767-776
ロット受渡しの際, よく用いられる統計的品質管理の基本的な手法は, 計数規準型1回抜取検査である.これは通常, 四つの要素(合格品質水準, ロット許容不良率, 生産者危険, 消費者危険)を指定することにより成り立つ.しかしながらこれら四つの要素の指定には種々の経済的要因を考慮に入れねばならず, 適切な数値を選択することはなかなか難しく, 特に生産者と消費者との間の綿密な交渉により決定される合格品質水準とロット許容不良率はこの傾向が強い.そこで本論文では, この問題にファジィ理論を適用し, これら四つの諸量を「だいたい?くらい」にしたいというあいまいな形式での指定を許した場合の抜取検査の定式化と, その検査方式の設計手順について述べる.