日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
長寿者になるための生理学的条件
下方 浩史
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2001 年 38 巻 2 号 p. 174-176

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抄録

長寿者となるための生理的条件としては遺伝素因が重要である. しかし, 長寿を修飾する因子として栄養, 運動, 休養, 喫煙, 飲酒などの生活・環境要因も重要である. 肥満は健康や寿命と大きな関係を持つ. ラットなどでは食餌制限で寿命が延びることが知られているが, ヒトでは肥満とともに痩せすぎも寿命短縮のリスクとなる. 特に予備力の低下している高齢者では痩せには要注意である. 喫煙や糖尿病, 高血圧などは老化を促進する. 一方, スポーツの習慣や適量の飲酒は老化を遅らせる. 予防対策・健康支援も健康な長寿を目指すためには欠かせない. 遺伝素因やリスク評価に基づいたオーダーメイド・サポートなど長寿のための健康支援の新しい戦略の成果も, 今後は期待できる. しかし, こうした予防医療・健康支援を実践していくためには, 基盤となる研究データの蓄積が欠かせない. そのためには老化に関する長期の大規模な縦断的研究が必要である.

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