日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
リハビリテーション病院入院患者に発生した合併症の検討
神経内科疾患患者について
柿沼 進野垣 宏森松 光紀
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2000 年 37 巻 12 号 p. 995-998

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抄録

リハビリテーション病院にリハビリテーションを目的として入院中の神経内科疾患患者に発生した合併症を検討した. また症例を65歳未満群, 65歳以上群に分類して合併症を検討した. 合併症の発生した人数は65歳以上群が有意に多かった. 65歳以上群では発生件数も多く, 同一患者に重複して起こりやすかった. 患者全体では, 感染性疾患の発生件数が多く, 臓器別にみた疾患の種類としては呼吸器, 泌尿・生殖器, 精神・神経系疾患が多かったが, 65歳以上群では65歳未満群に比べ泌尿. 生殖器疾患が有意に多く, 特に尿路感染症が多かった. また, 65歳未満群では脳血管障害の再発や脳血管障害後てんかん発作が多く, 一方, 65歳以上群では転倒による外傷・骨折が多かった. すなわち, 65歳未満群では基礎疾患と直接関連のある合併症が多かったのに対し, 65歳以上群では基礎疾患と直接関連のない合併症が多かった. リハビリテーション目的で入院中の高齢患者では, 感染症をはじめとした合併症が少なくなく, 常に全身状態の管理に配慮することが重要であることが示された.

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