1997 年 34 巻 10 号 p. 825-829
症例は91歳男性, 急性心筋梗塞のため当院を受診した. 高齢であったが心原性ショックを合併しており, 救命のため direct PTCAを施行した. 早期離床を目指し, 手技は6Fカテーテルを用い brachial approach で行った. CAGでは右冠動脈に99%狭窄を認めたが, 本治療により25%狭窄まで改善した. 術後も低血圧状態が遷延したが第31病日に退院できた. 6カ月後の現在も胸痛の再発を認めていない.
高齢者に対する direct PTCAの成績については諸説あるが, 内科的治療や血栓溶解療法に比べ長期予後は良好との報告が一般的である. これが超高齢者にも当てはまるとすると, 本症例のような心原性ショック合併例に対しては, 救命のため躊躇せず direct PTCAを施行することが必要であると考えられた.