日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
小麦紅麹からの血圧降下成分の抽出
辻 啓介市川 富夫田辺 伸和小畑 裕士阿部 士朗樽井 庄一中川 靖枝
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1992 年 39 巻 10 号 p. 913-918

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抄録

小麦紅麹の血圧降下作用を幅広い食品に利用するために,有効成分の抽出方法と性質を検討した.エタノール抽出した後,酢酸エチル, n-ブタノールで脂溶成分を除去した水抽出物A,熱水で抽出した抽出物B,小麦紅麹をアセトン浸漬したのち熱水で抽出した抽出物Cを紅麹換算で0.1%飼料に添加して, SHRに15日間摂食させた.その結果,全て同じレベルの血圧降下がみられた.また,小麦粉のみから成る液体培地で培養した培養物にも降圧作用が認められた.これらの結果から,次の点が示された.
(1) 紅麹の有効成分は,熱水で容易に抽出される.
(2) 作用物質は,水,エタノールに可溶, n-ブタノール,酢酸エチルに不溶である.
(3) 液体培養物にも降圧作用がある.また,その強さは,菌体量(グルコサミン含量)とパラレルであると推定される.

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© 社団法人 日本食品科学工学会
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