日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
油脂の安定性に及ぼすアミノ化合物の影響
(第3報)大豆蛋白質の加水分解物の抗酸化力とトコフェロールとの相乗性
山口 直彦横尾 良夫藤巻 正生
著者情報
ジャーナル フリー

1975 年 22 巻 9 号 p. 431-435

詳細
抄録

大豆蛋白質を塩酸及び酵素によって加水分解し,分解物をセファディクスG-25により分画し,分解物及び分画物の抗酸化力を測定した結果は次のとおりである。
(1) 大豆蛋白質の6N-塩酸による加水分解物の抗酸化力は分解率38~64%の範囲内では分解率の低い方が大であった。いっぽう酵素分解物においては分解率約15%付近が最も強い抗酸化力を示した。
(2) 酸分解物とd-δ-トコフェロールとの間には相乗性が認められ,その相乗力はプライマリー・アンチオキシダントとして最大の効力を示す区分より若干高い分解率の区分との間で最も強く認められた。
(3) 酸分解物のセファディクスG-25による分画物の単位ニンヒドリン反応度当りでの抗酸化力は分子量約1,300あたりのペプチドが最大であった。
(4) 酵素分解物のセファディクスG-25による分画物の単位280nmO.D.当りでの抗酸化力は分子量2,500~3,000ペプチドが最大であった。また分画物とd-δ-トコフェロールとは相乗性を示し,その相乗力は抗酸化力の最大のペプチドより幾分分子量の低いペプチドとの間が最も強かった。

著者関連情報
© 社団法人 日本食品科学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top