日本食品科学工学会誌
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食肉製品の汚染乳酸菌検出培地の開発
上﨑(堀越) 菜穂子岡田 幸男竹下 和子鮫島 隆有原 圭三
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2012 年 59 巻 8 号 p. 378-386

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抄録

食肉製品製造工場における汚染乳酸菌を対象に,簡便で高感度に検出する改良培地と培養条件を検討するとともに,RAPD-PCR 法などを利用した食肉製品製造工場における汚染源解析を試みた.
(1) BCP 添加 APT broth からグルコース濃度,寒天濃度,緩衝能を調整した LA 培地は,既存の培地に比べ高感度に乳酸菌を検出できた.
(2) LA 培地は,25°C で 48 時間培養することにより,食肉製品製造工場から分離した汚染乳酸菌を含む供試乳酸菌230株中の97%を検出し,さらに 24 時間培養することで全体の 99.6% を検出した.
(3) LA 培地は試験管内の培地全体において指示薬の色の変化が鮮明になるため,LA 培地を用いることによって,効果的に汚染乳酸菌を検出できることが明らかとなった.
(4) LA 培地を用いて食肉製品製造工場の汚染乳酸菌を検査,分離し,RAPD-PCR 法と 16SrDNA 解析を利用することにより,製品を汚染している乳酸菌の汚染源を特定できることが確認され,衛生改善に役立つことが実証された.

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© 2012 日本食品科学工学会
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