2011 年 58 巻 9 号 p. 428-432
α-リポ酸(ALA)を用いたキトサンの塩,CS-ALAを調製し,一次胆汁酸あるいは二次胆汁酸の吸着,並びにALA放出挙動を調べた.また,CA-ALAを含有したアルギン酸カルシウムゲルビーズ(Alg-Ca)の調製と経口摂取用の担体としての機能についても検討した.一次胆汁酸であるタウロコール酸の溶液中において,CS-ALAはALAを放出すると同時にその胆汁酸を吸着し,また,二次胆汁酸のタウロデオキシコール酸の場合には,より多くの吸着がみられた.ALA放出と胆汁酸吸着という2つの機能は,CS-ALAを含有したAlg-Caにおいても認められ,すべての素材が安全に経口摂取しうることから,それは大腸癌予防のための有用な食品となる可能性が示唆された.