物理探査
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論文
分布式光ファイバーセンサーによる静水圧環境下におけるひずみ測定
小暮 哲也堀内 侑樹木山 保西澤 修薛 自求松岡 俊文
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2015 年 68 巻 1 号 p. 23-38

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抄録

  任意の点でひずみ計測が可能な分布式光ファイバーセンシングを静水圧下で使用するため,常圧および静水圧下での光ファイバーのひずみ応答特性を調べた。まず,常圧下での金属平角棒の曲げ試験により,平角棒に接着した光ファイバーのブリルアン散乱光,レイリー散乱光を利用して得られる光ファイバーの線方向ひずみと,同時に測定された同一方向のひずみゲージによる値との関係を調べた。次に試料を封圧下におき,上記周波数シフトと平角棒の圧縮変形による光ファイバーの線方向ひずみとの関係を調べた。その結果,静水圧下の周波数シフトは被測定物の変形による光ファイバーの線方向変形に加え,静水圧で生じる光ファイバーの径方向変形の影響も受けることが定量的に明らかにされた。
  光ファイバーの線方向ひずみをεz,径方向ひずみをεr,ブリルアンおよびレイリー散乱光の周波数シフトをΔfとすると,ΔfはΔf=AΔεz+BΔεrの1次式で表された。したがって,静水圧下で得られた周波数シフトから光ファイバーの線方向ひずみを求めるには,光ファイバーの径方向変形に対する補正が必要である。さらに,分布式光ファイバーセンサーを用いて測定した静水圧下でのベレア砂岩の円柱供試体のひずみも,同様の補正によりひずみゲージによる結果に近い値を示した。以上の結果から,静水圧下における分布式光ファイバーセンサーによるひずみ測定手法の有効性が明らかになった。

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© 2015 社団法人 物理探査学会
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