日本呼吸器外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-4158
Print ISSN : 0919-0945
ISSN-L : 0919-0945
症例
有瘻性膿胸開窓術後にEWSによる気管支充填とVAC療法の併用が有効であった1例
山岡 賢俊菊池 慎二柳原 隆宏酒井 光昭後藤 行延佐藤 幸夫
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 32 巻 1 号 p. 46-51

詳細
抄録

有瘻性膿胸は難治性であり,治療が長期化することが多い.今回,開窓術後にEWSを責任気管支に充填することで陰圧閉鎖(VAC)療法を加えることが可能となり,良好な経過を得た症例を経験した.症例は62歳,男性.咳嗽,発熱を主訴に前医を受診した.右中葉肺膿瘍の診断で抗菌薬を投与されるも有瘻性膿胸となり,胸腔ドレーンからは白色膿性胸水の流出と大量の気漏が持続したため,当院へ転院した.一期的な根治術は困難と判断して開窓術を行い,全身状態は改善した.しかし気漏が遷延するため,EWSによる気管支充填術を施行したところ気漏が消失し,VAC療法を併用することが可能となった.VAC療法により,開窓腔の浄化と残存肺葉の拡張が得られ,術後180日目に開窓腔は保存的に閉鎖した.

著者関連情報
© 2018 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top