日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
初回切除後19年目に肺・胃の再切除を行った不完全型Carney's triadの1例
常塚 啓彰加藤 大志朗下村 雅律寺内 邦彦島田 順一
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2014 年 28 巻 6 号 p. 748-753

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抄録

Carney's triadは胃平滑筋肉腫,肺軟骨腫,副腎外傍神経節腫の3病変を伴う稀な疾患で,この内の2病変を発症したものを不完全型とされている.我々は初回手術後19年目に肺・胃の再切除を行った不完全型Carney's triadの1例を経験した.症例は30歳女性で11歳時に胃平滑筋肉腫の核出術を受け,21歳時に肺軟骨腫に対する肺部分切除術を施行され不完全型Carney's triadと診断された.今回PET-CTで左肺S1+2bの結節とFDGの異常集積を伴う胃腫瘤性病変を指摘された.胃病変はgastrointestinal stromal tumorと診断され幽門側胃切除術を施行された.肺病変に対し胸腔鏡下に左肺部分切除術を行い,病理学的に軟骨腫と診断した.再切除後5年経過しているが更なる新病変の出現は認めていない.Carney's triadでは異時性に腫瘍発生するため長期的に経過を観察する必要がある.

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