2013 年 36 巻 1 号 p. 11-22
本研究では,飲料水のリスクに関する様々な情報が消費者のリスク認知に対してどのように影響するのかを,提供情報の内容,個人特性,個人属性に着目して評価した。回答者は提供情報の組み合わせにより11グループに分けた。情報を提供しなかったグループに比べ,情報を提供した全てのグループで未知性因子得点が低くなる効果が見られた一方で,恐ろしさ因子得点が高くなった。また,集団感染事例やDALYなどの数値情報によるリスク認知への影響は大きくなかったが,特に集団感染事例についてはその数値の捉え方によって人々のリスク認知が異なることが明らかとなった。さらに,個人特性によるリスク認知への影響として,「無謀さ」などのリスクに対して能動的かつ積極的に対応する因子が大きいほど,恐ろしさ因子が大きくなる傾向が見られ,さらにこれらの特性因子得点が高いほど,情報提供の影響を受けやすいことが明らかとなった。