膵臓
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特集 膵癌診療ガイドライン2019改訂のポイント
放射線療法
伊藤 芳紀澁谷 景子中村 聡明大栗 隆行染谷 正則
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2020 年 35 巻 1 号 p. 63-68

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抄録

膵癌診療ガイドライン2019年版では,局所進行切除不能膵癌に対する一次治療として2016年版と同様に化学放射線療法と化学療法単独が並列で提案(弱く推奨)された.放射線療法分野では,局所進行切除不能膵癌に関して,化学放射線療法の併用薬剤はフッ化ピリミジン系抗がん薬またはゲムシタビン塩酸塩が提案され,放射線療法の標的体積として,大動脈周囲リンパ節への予防照射は行わないことが提案された.化学放射線療法前の導入化学療法については,JCOG1106の結果を踏まえて,行わないことが提案された.膵癌の遠隔転移,再発巣に関して,2019年版で新しく設定された術後転移,再発巣に対する放射線療法のCQでは,局所再発・所属リンパ節転移と肺転移に対して放射線療法を行うことが提案されたが,肝転移に対しては行わないことが提案された.また今後期待されている高精度放射線治療やハイパーサーミアについてコラムで解説している.

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© 2020 日本膵臓学会
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