膵臓
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特集 膵疾患(膵癌)(慢性膵炎を含む)のサポーティブ・ケア
膵疾患に対する栄養サポートの意義:サルコペニアとの関連を踏まえて
上野 真行辻 喜久平 大地石田 悦嗣守本 洋一水野 元夫
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2020 年 35 巻 2 号 p. 166-173

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抄録

膵疾患患者では外分泌・内分泌機能が低下し,消化・吸収障害や糖尿病の合併率が高いため適切な栄養サポートが必要となることが少なくない.慢性膵炎に対する栄養療法に関しては多くのエビデンスがあり,個々の重症度や病期に応じたサポートが推奨されている.慢性膵炎患者に栄養サポートを行う上で骨格筋量や運動機能は重要な評価指標の1つである.骨格筋量が低下しサルコペニアを合併すると生活の質(QOL)が低下し,入院リスクや全死亡リスクが増加するので,正確な評価に基づき適切にサポートすることが重要である.急性膵炎の亜急性期~回復期や膵癌患者における栄養療法のエビデンスはまだ乏しいが,当院の研究ではいずれの疾患においても適切な栄養サポートが重要であることが示唆された.本稿では,慢性膵炎,急性膵炎,膵癌の各疾患における栄養療法の意義について,自施設の研究成果を紹介しつつ概説する.

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© 2020 日本膵臓学会
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