肝臓
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症例報告
保存的治療にて救命し得たラミブジン誘発横紋筋融解症合併B型慢性肝炎急性増悪の1例
林 秀美澤田 康司長谷部 拓夢中嶋 駿介阿部 真美細木 弥生大竹 孝明藤井 常志藤谷 幹浩高後 裕長谷部 千登美
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2015 年 56 巻 7 号 p. 341-347

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抄録

症例は50歳,男性.2006年頃からB型慢性肝炎,脂質異常症,腎硬化症,高血圧,痛風で近医に通院していたが,抗ウイルス療法は施行されていなかった.2014年2月から肝機能障害の悪化を認め,2014年4月に全身倦怠感が出現し,B型慢性肝炎急性増悪と診断された.エンテカビル投与後に腎機能障害を認めたため,ラミブジン(LAM)投与に変更,15日後にaspartate aminotransferase(AST)の上昇,下肢の鈍痛,著明なcreatinine kinase(CK),ミオグロビンの上昇を認め,横紋筋融解症と診断された.診断後,速やかなLAMの休薬と輸液療法で急性腎不全に陥ることなく救命することが可能であった.LAM誘発横紋筋融解症は極めて稀であるが,B型慢性肝炎急性増悪症例に合併した際は予後不良であるため,LAM内服開始後にも関わらずASTの上昇が見られた際には横紋筋融解症を念頭に置くことが重要であると考えられた.

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© 2015 一般社団法人 日本肝臓学会
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