肝臓
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症例報告
静岡県西部地区で発生したシカ生肉またはイノシシ生肝摂食後のE型急性肝炎3例
川村 欣也小林 良正高橋 和明早田 謙一住吉 信一川田 一仁高橋 百合美牧野 さつき則武 秀尚中村 浩淑安倍 夏生新井 雅裕
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キーワード: 急性肝炎, HEV, E型肝炎
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2010 年 51 巻 8 号 p. 418-424

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抄録

シカ及びイノシシの生食により感染したと思われるE型急性肝炎3例を経験したので報告する.症例1,2は71歳と48歳の男性で発症の約2カ月前に,偶然同一飲食店で別々にイノシシの肝を生食していた.症例3は69歳の男性で,発症の2カ月前から息子が狩猟で捕獲した複数頭のシカ生肉を頻回に自宅で調理し摂取していた.3症例とも入院時,肝逸脱酵素は著明に上昇していたが補液や安静で改善した.3症例の病初期血清におけるIgM-HEV抗体,IgG-HEV抗体,HEV-RNAが陽性でHEV genotypeは4型,塩基配列は相互に99.8%以上一致した.愛知県のヒト及びイノシシから分離されている「4型HEV愛知株」との間にも98.5%-99.8%の一致率を示し,北海道に蔓延するgenotype 4とは明らかに別系統であることが注目された.

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© 2010 一般社団法人 日本肝臓学会
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