肝臓
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症例報告
バルーン下逆行性経静脈的塞栓術及び在宅酸素療法が有効と考えられた門脈肺高血圧症の1例
山本 花奈子川口 和紀柿木 嘉平太北村 和哉荒井 邦明飯田 宏加賀谷 尚史酒井 佳夫山下 竜也水腰 英四郎酒井 明人本多 政夫中本 安成高村 雅之松井 修金子 周一
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2007 年 48 巻 7 号 p. 322-330

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抄録

症例は71歳,男性.労作時息切れと食道胃静脈瘤の精査・加療のため入院となった.右心カテーテル検査で平均肺動脈圧は36mmHgと上昇しており,肺動脈性高血圧症を認めた.基礎疾患にC型肝硬変症と門脈圧亢進症があり,他の肺動脈性高血圧症の原因となる疾患を除外し,門脈肺高血圧症と診断した.
食道胃静脈瘤に対してバルーン下逆行性経静脈的塞栓術を4カ月前に施行しており,心エコーでの推定平均肺動脈圧は9.3%改善していた.労作時息切れや低酸素血症を依然として認めたために在宅酸素療法を導入した.心エコーでの推定平均肺動脈圧は4カ月後にさらに20.5%の改善を認め,両治療法の有効性が示唆された.門脈肺高血圧症の発症機序と治療法を考える上で示唆に富む症例と考えられ報告した.

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© 2007 一般社団法人 日本肝臓学会
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