日本畜産学会報
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一般論文(原著)
電気柵設置は農地へのアマミノクロウサギ(Pentalagus furnessi)の侵入防止に有効か?
中村 南美子𠮷本 勝太鈴木 真理子河合 渓赤井 克己大島 一郎中西 良孝髙山 耕二
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2023 年 94 巻 1 号 p. 61-68

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抄録

本研究では,アマミノクロウサギ(以下,ウサギ)の農地への侵入防止に向けた電気柵設置の有用性を検討した.徳之島のタンカン幼木園(周囲100 m,約300 m2)に架線高10,20および30 cmの電気柵を設置した.設置前(23日間)のアマミノクロウサギの撮影頻度指数(RAI)は43.5と高かったものの,設置後(406日間)は0.2と著しく低下した(P<0.05).電気柵沿いで撮影された延べ1,062頭分のウサギの動画からは,柵設置直後に通り抜けて侵入(1頭)または柵に触れて感電(5頭)する個体が観察されたものの,それ以外は柵を忌避する状況が大半を占め,タンカン樹への食害も皆無であった.柵の資材費は77,200円であり,設置は2名で約1時間,生産農家は管理面での負担を感じなかったと回答した.以上より,電気柵はアマミノウサギの農地への侵入防止に有用であることが示された.

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