2018 年 89 巻 4 号 p. 439-450
蒸米仕込みによる清酒粕の給与が,濃厚飼料多給条件下の緬羊の消化性,ルーメン発酵,血液性状に及ぼす影響をin vitro発酵試験およびin vivo代謝試験により検討した.In vitro試験では,発酵基質の圧ペン大麦を粗タンパク質(CP)含量が等しくなるように大豆粕(SBM),乾燥清酒粕(SLd),生清酒粕(SLw)で一部代替した.DM消化率はSBM, SLd, SLw区,CP消化率はSBM, SLw, SLd区の順で高かった(P<0.01).酢酸濃度はSBM, SLd, SLw区,プロピオン酸濃度はSLw, SLd, SBM区の順で高かった(P<0.01).In vitro消化率の結果に基づき,in vivo試験では,去勢緬羊4頭を供試し,肥育牛用濃厚飼料と稲わらを7 : 3で給与した.In vivo試験は濃厚飼料の10%を占める大豆粕の0,34,69,100%をCPとTDN含量が同等となるように生清酒粕で代替した区(C, L, M, H区)を設け,4×4のラテン方格法で実施した.給餌後のルーメン内プロトゾア数はM, H区がC, L区よりも低かったが(P<0.05),DM摂取量,見かけの消化率,窒素出納,ルーメンpH, NH3-NおよびVFA濃度に差は認められず,蒸米仕込み生清酒粕は大豆粕に代替できることが示唆された.