園芸学研究
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土壌管理・施肥・灌水
定植時の養分レベルがスプレーギクの生育と切り花品質に及ぼす影響
島 浩二後藤 丹十郎景山 詳弘
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2004 年 3 巻 2 号 p. 155-160

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抄録

スプレーギクのベンチ栽培において,定植時の養分レベルが生育と切り花品質に及ぼす影響を調査するとともに,土壌溶液の養分レベルを指標とした適正濃度範囲を明らかにした.
総窒素施肥量(267 mg/シュート)に対する基肥の割合を0 %,25 %,50 %,75 %,100 %とした.基肥以外の肥料分については各区とも栽培期間を通じて等分し,摘心時から7日間隔で与えた.さらに和歌山県の慣行施肥方法に準じて施肥を行う慣行区(総窒素施肥量500 mg/シュート)を設けた.
初期生育は,25 %区および50 %区で最も旺盛となったが,75 %区,100 %区では高濃度障害を引き起こし,抑制された.一方,栽培中期以降の生育は基肥割合にかかわらず良好であり,切り花品質は0 %~100 %区間ではほぼ同様で良好となった.しかし,慣行区では他の区よりも葉が大きく茎が太くなり,切り花品質は低下した.
以上の結果から,スプレーギクの養分管理においては定植直後の培地中の養分レベルを適正濃度範囲内に維持することが重要であり,生育初期におけるその適正濃度範囲は土壌溶液の硝酸態窒素濃度で50~300 ppm程度であると考えられた.

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© 2004 園芸学会
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