肺癌
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総説
臨床研究の進め方
関根 郁夫鈴木 敏夫山田 武史鈴木 英雄
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ジャーナル オープンアクセス

2020 年 60 巻 4 号 p. 292-297

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抄録

研究とは「問い」に対する「答え」を徹底的に探し求めることであるが,現在では科学的発見の技術への応用も視野に入れて包括的に定義されている.臨床研究は患者を直接対象とする患者指向型研究と,患者から得た組織,細胞,血液などを用いる疾患指向型研究に大別される.研究は,「問い」の着想(新しいアイデア,リサーチ・クエスチョン),研究の計画(研究仮説,コンセプト・シート,プロトコール,倫理審査委員会の承認,研究データベースへの登録),研究の実施(プロトコール遵守,モニタリング,データマネージメント),結果の分析(仮説の検証),考察と結論(内的・外的妥当性の検討),発表というように段階的に進む.コンセプト・シートは幅広い研究者に送って研究デザインについての助言と協力を得る.研究実施体制を構築するこの段階が特に重要で難しいところである.近年,製薬企業によるグローバル治験が新規抗がん薬の開発を推し進めるようになり,臨床医が臨床試験における「問い」を出す余地は少なくなった.対照的に疾患指向型研究は著しい発展を見せており,臨床医には学際的に異なる領域の人たちを巻き込んで研究していく姿勢が期待されている.

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© 2020 日本肺癌学会
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