2013 年 53 巻 2 号 p. 127-131
背景.小細胞肺癌は中枢型がほとんどで,発育が早く,多くは早期にリンパ節や他臓器に転移を認め,予後の悪い腫瘍である.症例.82歳,男性.喉頭癌に対し放射線化学療法を行った後,経過観察の胸部CTスキャンにて右肺中葉末梢に集簇する複数の小結節影(最大径0.5 cm)を認めた.炎症性変化を疑い経過観察とされたが,経過でそれぞれの結節が徐々に増大し,1年半後に全ての結節が癒合して2.4 cmの結節となった.このため悪性腫瘍を疑い,CTガイド下肺針生検を施行したところ,小細胞癌と診断された.頭部MRI,FDG-PET検査から臨床病期T1bN0M0,IA期と診断し,胸腔鏡補助下右肺中葉切除およびリンパ節郭清を施行した.病理病期T1aN0M0,IA期と診断された.結論.CT上,稀な発育形式を呈した小細胞肺癌切除例を経験したので,報告する.