2020 年 22 巻 2 号 p. 33-40
日本の労働災害の減少に,職場で進める安全衛生活動が貢献している.しかし,これまで安全衛生活動を評価する手立てがなかった.活動の維持,活発化には組織内のコミュニケーションが欠かせない.組織のコミュニケーション状況を測定するため,インタフェースの概念で汎用化したTeam Communication Interface Questionnaire(TCIQ)が提案されている.TCI の概念を基本として職場の安全コミュニケーション状況を測定する質問票としてSafety Communication Interface Questionnaire (SCIQ)を開発した.本研究ではA 社を対象に質問票調査と職場巡視を合わせて実施し,SCIQ について信頼性と妥当性を検討するとともに,安全コミュニケーションの視点から安全衛生活動の評価を試みた.調査対象は2 事業所,115 人(平均年齢48.3 歳)であった.SCIQ のインタフェースごとに求めたCronbach のα係数は,危険予知活動0.764,ヒヤリ・ハット活動0.815,4S 活動0.765,指差し呼称活動0.807,挨拶運動0.755 であった.SCIQ は信頼性を有すると考えられる.