行動分析学研究
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知的障害児の個別指導における試行間間隔が試行遂行反応に及ぼす効果
村中 智彦藤原 義博
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2006 年 20 巻 1 号 p. 13-27

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抄録

研究の目的:知的障害児の個別指導において、課題中の試行間間隔の操作が対象児の試行遂行反応に及ぼす効果を検討し、個別指導の試行間における設定の在り方についての示唆を得ることを目的とした。研究計画:反転計画法(ABABデザイン)を適用した。場面:大学の個別指導室。対象児:8歳と10歳の知的障害男児2名。独立変数の操作:指導者が試行間間隔を統制し一定間隔で教示を行う指導者統制教示条件(A)と、対象児の試行遂行反応の完了時に次試行の教示を行う対象児任意遂行条件(B)を実施した。行動の指標:対象児の(1)試行遂行反応の潜時2秒以内の反応数の割合、(2)1分間当たりの試行遂行数、(3)正反応率を指標とした。結果:(1)試行遂行反応の潜時2秒以内の反応数の割合では、対象児に共通して、対象児任意遂行条件で指導者統制教示条件よりも高まる傾向が認められた。(2)1分間当たりの試行遂行数では、1名の対象児において、対象児任意遂行条件で高まる傾向が認められた。(3)正反応率では条件間の差異が認められなかった。結論:個別指導において、試行間間隔を0秒にして対象児が任意に試行を遂行できる教示の手続きは、対象児の教示に対する反応の潜時を短くする先行操作になることが示唆された。

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© 2006 一般社団法人 日本行動分析学会
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