西日本皮膚科
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症例
モガムリズマブが奏効した続発性 Sézary 症候群の 1 例
芦澤 慎一松尾 佳美白石 剛章末岡 愛実森田 知世静川 寛子高萩 俊輔平郡 隆明秀 道広
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2019 年 81 巻 4 号 p. 306-310

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抄録

73 歳,男性。58 歳時より躯幹・四肢に瘙痒を伴う紅斑が出現し,69 歳時に紅皮症となった。皮膚生検にて,菌状息肉症と診断された。その後,白血球増多があり当科を紹介され受診した。初診時,全身に落屑性紅斑を認め,両鼠径部に径 4 cm 程のリンパ節を触知した。末梢血では,白血球数が21,650/μl(Sézary cell 66%),CD4/8 比が 132.8,血液および骨髄の TCRβ 鎖遺伝子再構成が陽性であり,続発性 Sézary 症候群(T4NXM0B2,stage ⅣA1)と診断した。皮膚組織の腫瘍細胞は CCR4 陽性であったため,ヒト化抗 CCR4 モノクローナル抗体(モガムリズマブ)を投与した。週 1 回 1 クール(計 8 回)の投与を行い,grade2 の皮膚障害を生じ,皮膚病変は不変であったが,リンパ節病変と血液病変は完全寛解した。しかし,1 クール終了 7 カ月後に血液病変が再発し,2 クール目の投与を開始した。週 1 回の通院が困難で,やむを得ず月 1 回の間隔で計 8 回の投与を行ったが,血液病変は再度完全寛解し,皮膚病変は投与終了後 6 カ月経過した後,部分寛解した。また,皮膚障害は生じなかった。自験例を通して,モガムリズマブは血液と皮膚において効果発現時期に違いがあり,投与間隔を延長しても,疾患の病態や進行度,年齢によっては,効果を維持しつつ,重篤な皮膚障害などの発生を減少させる可能性があることが示唆された。

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© 2019 日本皮膚科学会西部支部
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