西日本皮膚科
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症例
SLE患者に生じたMycobacterium chelonae 皮膚感染症の1例
河野 浩子古賀 文二今福 信一中山 樹一郎古賀 佳織
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2011 年 73 巻 5 号 p. 501-504

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抄録

22歳の女性。左膝に生じたMycobacterium chelonaeM. chelonae )皮膚感染症の1例を報告した。10歳時にSLEと診断され,副腎皮質ステロイド内服およびパルス療法,血漿交換,シクロフォスファミドパルス療法など施行されたが寛解増悪を繰り返していた。2009年12月からループス腎炎を発症し副腎皮質ステロイドパルス療法およびシクロフォスファミドパルス療法が行われた。SLEの活動性は抑えられ,尿蛋白量,血清アルブミン値も改善した。2010年3月,5ヵ月前に交通事故で受傷した左膝蓋に,疼痛を伴う発赤,硬結が出現した。病理組織学的にZiehl-Neelsen染色で皮下に赤紫色に染まる桿菌が認められた。膿汁の塗沫検査にてGaffky6号,抗酸菌培養陽性,DNA-DNA hybridization でM. chelonae と同定した。自潰し排膿したため洗浄とクラリスロマイシン800mg/日の内服にて治癒傾向にあったが内服継続中であるにもかかわらず7ヵ月後に再発した。免疫抑制状態の患者のM. chelonae 感染症とその治療法について検討した。

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© 2011 日本皮膚科学会西部支部
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