歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
ヒト歯牙自己蛍光特性の加齢による変化
花房 信博荒木 勉弘田 克彦河田 照茂
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1990 年 32 巻 6 号 p. 575-583

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抄録

紫外線照射されたヒト歯牙より発せられる螢光に関して, 従来より測定されている静的螢光に加えナノ秒域の動的螢光に着目し, 専用の時間分解顕微螢光測光装置を試作した。本装置を用いて, 加齢および齲蝕という老化に関する2大要素がヒト歯牙各組織の螢光特性に及ぼす影響について検討した。その結果, (1) ヒト歯牙の螢光物質としてヒドロオキシアパタイトと螢光性架橋コラーゲンの複合体が考えられた。 (2) 象牙質において螢光強度が加齢とともに増大し, 螢光減衰時間が短縮するという顕著な年齢依存性が認められた。 (3) 齲蝕部の螢光特性は健全部と異なり, ヒドロオキシアパタイトの螢光特性により近いものとなった。

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