日本歯周病学会会誌
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TNFレセプター1型および2型遺伝子多型と広汎性侵襲性歯周炎の関連性について
島田 靖子田井 秀明遠藤 基広小林 哲夫山崎 和久吉江 弘正
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2003 年 45 巻 3 号 p. 267-278

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抄録

歯周炎は多因子疾患の一つと考えられ, なかでも侵襲性 (早期発症型) 歯周炎の疾患感受性には遺伝子多型の関与が示唆されている。一方で, 歯周炎局所でTNFαのシグナル伝達・調節機能を担うTNFレセプター (TNFR) の機能についても着目されている。そこで今回, 日本人におけるTNFRの遺伝子多型と侵襲性歯周炎との関連性について検討した。
インフォームドコンセントを得た日本人広汎性侵襲性歯周炎患者45名および年齢を適合させた健常者100名を対象とした。5カ所の遺伝子多型はそれぞれTNFR2 (VNTR) はPCR法, TNFR1 (-383; A/C), (+36; A/G), TNFR2 (+587; T/G) はPCR-RFLP法, TNFR2 (+694; G/A) はPCR-SSCP法にて検出した。統計学的解析はカイ2乗検定, フィッシャーの直接確率法, 同等性のΔ検定とさらにMante1-Haensze1法による補正を行った。
その結果, TNFR1 (-383) ではCアレルの頻度が患者群に有意に低いことを認めた。さらに患者群と健常者群では, 3カ所のTNFR2アレル頻度に同等性が認められ, 交絡因子で補正後もTNFR2 (+587) および (VNTR) には同等性が有意に認められた。
以上の結果より, 広汎性侵襲性歯周炎にはTNFR1 (-383) 遺伝子多型が関連する一方で, TNFR2 (+587), (VNTR) には関連性が乏しい可能性が示唆された。

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