日本歯周病学会会誌
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帯状疱疹における歯肉部所見
深井 浩一大滝 晃一長谷川 明石川 和光
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1987 年 29 巻 1 号 p. 233-241

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抄録

歯肉症状初発の帯状疱疹2例を経験したので報告する。第1例は, 右側三叉神経, 上顎神経領域を中心とし, 29歳男性であった。初発症状は右上顎臼歯部の疹痛と水疱形成であり, その後右上顎部顔面に拡大した。第2例は左側三叉神経, 下顎神経領域を中心とする58歳の女性で経過中にRamsay-Hunt症候群を併発した。初発症状は左下顎臼歯部歯肉の違和感と水疱形成, つづいて左顔面への放散痛であった。両例とも補体結合反応によりVZVウイルスの関与が認められている。
以上の臨床所見より次の結論を得た。
1. 定型, 非定型 (Ramsay-Hunt症候群) の帯状疱疹2例を経験した。
2. 両例で従来稀とされた歯肉症状を認めた。
3. 口腔帯状疱疹の前駆症状としては一般的な歯痛の他, 歯肉, 粘膜部痛も存在する。

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