ウイルス
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総説
分節型ゲノムを持つラブドウイルス
近藤 秀樹
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2013 年 63 巻 2 号 p. 143-154

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抄録

 ラブドウイルスは非分節型マイナス(-)鎖RNAをゲノムに持つモノネガウイルス目に所属し,ヒト,家畜,魚類,昆虫類,植物など多様な生物種に感染することが知られている.ランえそ斑紋ウイルス(OFV)はオンシツヒメハダニにより媒介され,世界のラン科植物の栽培地域に広く分布するが,発見当初から生物学的特性,粒子形態,細胞内所見の類似性などを根拠にラブドウイルスの一種と考えられていた.その後OFVが2分節型の(-)鎖RNAをゲノムに持つことが判明し,その遺伝子の構造や構成は植物ラブドウイルス,特にヌクレオラブドウイルス属に類似していることが示された.本総説では,モノネガウイルスに類似するユニークな2分節型ウイルスのゲノム構造や遺伝子発現様式,さらに核内封入体(viroplasm)の誘導機構に関わる最近の知見やOFVの分類動向を紹介する.

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© 2013 日本ウイルス学会
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