2006 年 53 巻 p. 1256-1260
生物相による環境評価方法の一つに指標生物法がある.この方法は, 環境を指標する種類の出現の有無によって簡単に環境を評価できる利点があるが, 指標生物の出現が無い場合は評価ができず, 定量的な取り扱いが困難等の欠点が指摘されている.本研究では, 容易に観察が可能な潮間帯の付着生物を対象に, 大阪湾湾奥48地点のコンクリート構造物で実施したフィールド調査の結果に基づき, 海域環境の新しい数値評価方法として, 指標生物の特性を利用した生物相評価指数 (IF) を提案する.この指数による海域環境の定量評価は, その場の水質環境をよく反映し, 有用性が高いと考えられる.