都市臨海部においては, 土地利用の高度化や地下空間の利用拡大といった高度利用が促進される反面, 伊勢湾台風を契機に整備されてきた海岸保全施設の老朽化, 異常潮位や温暖化による海面上昇など外力条件が厳しくなり, 大きなリスクが生じつつある. 沿岸津波についてはその危険度が広く認知されているのに対し, 津波による臨海部市街地の氾濫災害については, あまり想定されていない.本研究では, 建物と地下施設が混在した首都圏の複合市街地を対象に, 氾濫水の挙動特性や地下での浸水深, 流速などを測定し, 津波による浸水危険度の高さを模型実験で調べた.その結果, 地下空間の危険度は特に高く, 避難が非常に困難な状態になることがわかった.