2022 年 78 巻 2 号 p. I_1039-I_1044
東京湾を対象海域として,海色リモートセンシングにおいて海面射出輝度が負の値となる原因を検討した.気候変動観測衛星GCOM-CのSGLIのデータと地上から測定された大気エアロゾルの光学特性を比較した結果,吸収性エアロゾルが影響していると考えられた.測定された光学特性から吸収性エアロゾルの光学モデルを開発し,放射伝達シミュレーションを実施した.大気補正の標準アルゴリズムで使用されるエアロゾルモデルによるエアロゾルの放射輝度は,吸収性エアロゾルを用いた場合より過大評価していた.この過大推定値を用いてSGLIデータを補正した結果,波長380nmにおける正規化海水射出放射輝度の負の値は解消された.適切な大気エアロゾルの光学モデルにより海面射出輝度が負の値となる問題を解消できる可能性が示された.