2015 年 71 巻 2 号 p. I_847-I_852
現行の設計基準では,越波流量あるいは打上げ高に基づいて海岸護岸の天端高を決定するが,それぞれの安全性水準が異なる可能性が指摘されてきた.Mase et al.1)は汀線近傍に設置された傾斜護岸を対象に,打上げ・越波統合算定モデル(IFORM)を提案したが,堤脚水深の大きい場合の推定精度は明記されておらず,また直立護岸は対象外であった.本研究は,IFORMについて,堤脚水深の大きな箇所に設置された傾斜護岸への適用性を検討するとともに,直立護岸にも適用できるよう拡張したものである.CLASHプロジェクトによるデータセット2)で検証した結果,IFORMは堤脚水深が大きい傾斜護岸にも適用でき,2割勾配護岸の越波流量に対する補正係数を適用することで,直立護岸にも拡張できることが確認された.