2015 年 71 巻 2 号 p. I_169-I_174
静水圧近似した平面2次元(2D)と準3次元(Q3D)モデルを用いて,市街地を対象とした津波遡上実験の再現計算を行った.Q3Dモデルの計算は,遡上波に平行な構造物列間では良好な結果を示すが,構造物背後での計算精度は不十分であった.また,水平渦粘性係数を変化させて行った解析結果より,市街地のように波の進行幅が変わりやすい地形では,渦粘性係数の値が波の進行する速度に大きく影響することが確認された.さらにQ3Dモデルと2Dモデルの解析結果の比較により,浸水深が減少する内陸部においては,同じ計算条件でも2つのモデル間の浸水範囲等の差異が大きくなり,特に2Dモデルでは底面摩擦係数の影響が大きくなることを確認した.