土木学会論文集B3(海洋開発)
Online ISSN : 2185-4688
ISSN-L : 2185-4688
海洋開発論文集 Vol.31(特集)
2014年12月に北海道で発生した温帯低気圧による根室の高潮被害の現地調査と発生機構の解明
中村 亮太岩本 匠夢柴山 知也三上 貴仁松葉 俊哉Martin MAELL舘小路 晃史田野倉 祐介
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2015 年 71 巻 2 号 p. I_31-I_36

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抄録

 2014年12月中旬に発生した温帯低気圧は急速に発達し,根室に高潮被害をもたらした.本研究では,根室に生じた高潮の現地調査の結果を整理し,数値モデルを用いて高潮の再現を試みた.現地調査の結果,根室市街地の浸水高は最大で2.20 mであった.一方,根室港では最大の2.82 mを記録した.現地調査の結果,地盤高が海岸線から市街地に向けて徐々に低下していた.この地形的特性が根室市弥生町市街地に高潮被害をもたらした原因の一つである.数値計算の結果,根室湾で水位が上昇・下降する現象が見られた.具体的には,まず東風が吹き,根室湾の水位が上昇する.次に,風向きが北風に変化して,根室湾に溜まった水塊が根室半島に吹き寄せられ,根室港での高潮偏差が増加するという結果を得た.根室市街地の地形的特性,風向きの変化と根室湾と根室半島の相対的位置関係などの条件が高潮被害をもたらした.

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© 2015 公益社団法人 土木学会
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