2022 年 78 巻 6 号 p. II_95-II_107
COVID-19流行により2020年4月に1回目の緊急事態宣言が発令された.宣言中には諸活動で行動変容が生じ,解除後の流行前への戻りは活動や属性ごとに異なっていたと考えられる.そこで本研究では,人々が初めて外出自粛を経験した際の流行前への戻りも含んだ純粋な反応を捉えるために,活動間,属性間での変化パターンを定量的に比較可能とした行動弾性図を提案した.流行前,宣言中,その解除後の3断面でのダイアリーデータから行動弾性図を作成し,都市類型や職業による変化の違いを把握した.その結果,1)三大都市圏居住者や事務の在宅勤務実施は流行前よりも増加したままであったこと,2)自動車移動は解除後で流行前よりも増加しており,その傾向は三大都市圏居住者や無職者で大きかったことが明らかとなった.